本文記事2005年
佐世保市のシール方式、順調な立ち上がり シールに対する懸念を完全払拭 人口24万を擁する長崎県佐世保市では、2005年1月10日からシールをつかった超過量有料制を実施している。私たちはスタートして半年を経過した7月に同市環境部廃棄物・リサイクル対策課を訪ね、担当豊村氏からシール方式の運用状況をうかがった。 <しくみ> <減量効果は3割> <市民の反応> <シールで問題なし> <職員も誇りとする制度> 〜訪問後の感想〜
『包装タイムス』4月18日付に掲載された記事を記者承諾のうえ転載いたします。 黒色ごみ袋がエコマーク製品に エコマーク新認定基準案へ明記 日本環境協会ではこのほど、昨年6月から見直し作業を行っていたエコマーク商品類型118「プラスチック製品Version2.0(認定基準案)」を公表した。新認定基準案では、日本ポリオレフィン工業組合がかねてから同協会に要望をだしていた“黒色ごみ袋と雑色ロスの問題”について明記されるなど、新たな展開が期待される内容となった。内容については、同協会ホームページの「エコマークニュース55」にて閲覧が可能で、公表機関は5月13日まで、制定予定日は今年9月1日が予定されている。 今回の見直しについては、プラスチック廃棄物の有効利用を促進すべく、使用済みプラスチック製品のマテリアルリサイクルを主眼に、使用済み製品のリサイクル性も評価対象にされた。なかでも、現基準(Version1.0)では黒色ごみ袋を対象外としていたが、「再生プラスチックにおいてコントロールが難しい雑色ロスの用途を広げる必要性が指摘されたことや、透明・半透明ごみ袋と黒色ごみ袋の使い分けは使用者の選択に任せるべき」との意見により、今回の新認定基準案では黒色ごみ袋を対象外としなかった。 1993年に東京都が白色半透明ごみ袋を導入以来、それまで主流だった黒色ごみ袋は使用が激減、その材料であった雑色ロスは行き場を失う状況が続いていた。今年は京都議定書の発行や「愛・地球博」の開催など環境問題がよりクローズアップされる中での今回の新認定基準案だけに、関係者の注目度はひときわ高い。黒色ごみ袋のエコマーク認定を期に、ごみ袋の動向を左右する市町村の取組みにも新たな展開が期待されるところだ。
京都市審議会、有料化方針を決定 従量制有料指定袋を選択 3月24日、京都市廃棄物審議会の第6回指定袋制導入検討部会において「単純指定袋」「従量制有料指定袋」「超過量制有料指定袋」の3つの選択肢のなかから一つに絞り込む目的で審議がなされ、「従量制有料指定袋」が選ばれた。 これにより今夏に予定される市長への答申は「従量制有料指定袋」でなされ、その内容で条例案が議会に上程されることが確定的となった。早ければ18年秋にも有料袋制が導入される見通しだ。 部会では最初、有料化するかしないかを決断するための議論が30分間もたれ、結果、全会一致で有料化する方向に決まった。次に従量制と超過量制どちらでいくかの議論が10分間もたれ、これも反対者なしで従量制が選択された。 <特別コラム> 審議会のあり方の難しさを感じる。100万都市が有料化に向かう流れが実質30分の討議で決定された。審議会の答申は法的拘束力をもたないが、通例、単なる勧告で終わるはずもなく、議会を通って条例化される公算が高い。それだけに審議会の責任は重大といえる。議会と非なるものである審議会の役割とは何であろうか。「審議会の役割は利害関係者の合意形成や省庁の隠れ蓑ではなく、専門家を集めてどんな選択肢があり、それぞれどんなメリット・デメリットが社会にとってあるかの知恵を出すこと。省庁内でできるのならわざわざ設ける必要なし」−−これは首相官邸サイト内でみつけた一節である。(行革会議「委員の意見の整理」より) 筆者は、ここ4回ほど京都市の指定袋制検討部会を傍聴しているが、指定袋や有料化に関する専門的知見を提供したのはもっぱら事務局を務める市担当者であった。委員は与えられた説明に対し、一般人と変わらない感想を述べるにとどまった。役所単体の検討作業では得られないような専門家ならではの付加価値は審議のなかに確認できなかった。委員が市の用意した資料について専門家として批判的検証を加える場面もなかった。 筆者のメモによれば、有料化方針を採択した30分の討議において委員の発言回数は都合32回あった。うち有料化や指定袋の必要性を問い質す発言は1回きり。それというのは、市民公募委員から出た「有料化するとごみは減るんですか?」という素っ頓狂な質問だった。事務局は当惑気味に「はい、ごみは減ります。ただし併せ技が必要」と答えていた。残りの発言は、委員がもう有料化でいくと決めつけた上で枝葉的な付帯条件に言及するなど、京都市の将来を今まさに決しようという場には似つかわしくない内容と思われた。 ひとたび有料化をテーマにシンポを開けば、会場からは多くの手が挙がり、賛否両側から本質をえぐるような意見が活発に出されて熱気をはらむのが常である。そこでは大抵「意識向上」「負担公平化」というものの本質が問われている。京都市が11月6日に主催した「青空タウンミーティング」も例外ではなかった。一方、審議会での議論は、そうした市民の声の縮図とは遠くかけ離れた様相を呈していた。「一般市民の議論と学識者の大所高所からの議論は違う」という一言では片付けられない違和感を覚えた。 昨今有料化に関する討論会は数え切れないほど催されている。審議会が議論するのであれば、最低限そこで争われた論戦のエッセンスを収集し、あらかじめ共有すべきではないだろうか。委員は過去の論戦を共同でトレースし、専門家としての威厳をかけて争点を乗り越えるのが責務であろう。 審議会は貴重な税金とマンパワーを投じて運営されるのだから、答申では結論に至った筋道を丁寧に示せなければ意味がないはずである。しかし現実には、紋きり型で争点を整理しない答申が多くみられ、しかも既決方針として神聖視される。委員が人々の疑義を解消する言葉を紡ぎ出せないのであれば、もはや結論は政治判断でしかないわけで、専門家のすべき仕事ではない。審議は最初から行政マンや議員の名の下で進めるべきであろう。 参考まで筆者が活動家・学識者との交流で得た見聞から、有料化を審議する上で最低限留意したいと思われるポイントを以下に記す。有料化政策の専門家が解明すべき課題である。 (1)効果発生メカニズムの検証 (2)有料化の正味減量効果の検証 (3)負担不公平を是正する必要性の検証 人々が有料化に対して突きつける疑問は得てして上記命題に含まれるものだと思われる。有料化を推し進める側がこれら課題と真摯に向き合わなければ、いつまでたっても議論は平行線のままである。
福岡市が入札方式の方針示す 10月から有料化、外郭団体に事務委託 2月10日、メーカー、問屋およそ60名を集め、福岡市環境局による業者説明会が催されました。3月議会を通過したと想定した上での、指定袋の制度変更の話でした。福岡市は現在認定制ですが、これを10月から有料袋制に移行する計画です。当局の有料袋制の方針が関係者の前に初めて正式に示されました。 ここまで紆余曲折がありましたが、結局予想された通りの入札方式でした。袋の調達、流通管理を外郭団体に委託し、アイテムごとに別々の業者が落札させる点に特色があります。移行時には透明無地袋を認める方針。 質疑応答で業者側からは、入札資格、店の手数料、在庫切り替えのスケジュール、不正発生時の問題点、百均業者の対応、脱臭入りは入札でどうなるのか等々、様々な疑問・要望・意見が出されました。 すでに粗大ごみシールを扱っている「福岡市くらしの環境財団」が入札を行います。参加業者はこれから公募することになります。当局は、業者の参加資格に「従来の指定袋を作った実績を重視する」と強調しており、従来からの承認業者(27社)や地元事業者は何らかの形で優遇するつもりがあるようです。 ただし新参の入札専門業者が裏から応札業者をコントロールし、一社独占に至る可能性があり、市もそのことを排除できないとしています。応札業者の工場の所在などについてはノーチェックとする構えです。 初回入札ではトータルで5400万枚を予定。 可燃45L 2800万枚 可燃45Lが全体の56%を占めます。入札は初年度に2回実施し、その後は3、4回。年間消費枚数は7500〜7700万枚を見込む。 デリバリーは、コンビニ用に指定ベンダー(問屋)をかますことを想定しています。業者から「コンビニだけ差別的に優遇するのはおかしいのでは?」と指摘があり、市側は「すべての業態が希望すれば問屋を通せる」と回答しました。問屋向けに設定される手数料を了承し、売掛リスクを覚悟した問屋には門戸が開かれることになります。 外郭団体を用いるのは、入札分割を禁じたWTOの政府調達協定の適用を逃れるためといいます。こうした手法がもし市民権を得て通用してしまうのであれば、追随する自治体に道をひらくことになるでしょう。良い意味でも(一社独占にならないようコントロールできる)悪い意味でも(恣意的な判断が横行する?)先駆的、実験的という気がします。 問屋経由をすべての業態に認めるという判断は(問屋救済という意味で)それなりに評価できます。とはいえ福岡市は10月から袋の市場競争をなくす決断をしました。市民から27億円を徴収するためにメーカー出荷段階で4億円、小売段階で8億円という健全で活力ある市場を接収する道を選びました。シール方式や、袋でやる場合でも自由競争を残す方式などの回避手段があるにもかかわらず安易に先例を踏襲したことは非常に残念です。140万都市で入札有料袋制を実施すると一体どういうことになるのか、私たちは福岡市で初めて経験することになります。
ごみ袋最新動向 指定袋の動向、焦点に 原料動向や新製品の登場なども注目
指定袋の行方 各産業界の昨年を振り返ると、原料価格の上昇に翻弄された1年であったといえる。しかしながら、ごみ袋業界にとって、原料価格以上に重大な関心事が市町村の指定袋の動向。 今年も高値維持か 原料のほとんどがポリエチレン(PE)で構成されているごみ袋の価格は、いうまでもなく原料価格の動向にストレートに反映されることから、原料の動向にも目が離せない。一昨年の秋頃までは、PEの海外価格は550〜600j前後で推移していたが、昨秋にはHDPEで1200j超、LDPEでは1400j超を記録し、L‐LDPEも1180jと大幅な価格上昇となった。こうした状況から、近年稀にみる海外高、国内安の逆転現象を引き起こした。原料供給メーカーにとって、いうまでもなく安い国内よりも高い海外に売るほうが得策。実際に、国内の供給量は減り続けている。原料を安定的に仕入れるためには、高くても海外から購入するしかないのが現状のようだ。今年は、新たに中国のプラントが稼動するが、旺盛なアジアの需要を満たすには程遠く、「雀の涙」程度の効果しか期待できないもよう。昨年末から、原料価格はようやく落ち着きを取り戻してきたものの、依然高値水準にあることに変わりなく、各社の予測は海外価格で1000jは割り込まないとの見方が支配的だ。 新製品に期待 「東京23区推奨ごみ袋」の規格が見直されたことも見逃せない。それまで、炭酸カルシウム(炭カル)を30%含有することなど細かな規格が決められていたが、新規格ではこうした規格が撤廃され、半透明であることやサイズ以外はほぼ自由化された。 |
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