本文記事2005年

 


 
佐世保市のシール方式、順調な立ち上がり

シールに対する懸念を完全払拭

 人口24万を擁する長崎県佐世保市では、2005年1月10日からシールをつかった超過量有料制を実施している。私たちはスタートして半年を経過した7月に同市環境部廃棄物・リサイクル対策課を訪ね、担当豊村氏からシール方式の運用状況をうかがった。
 シール方式は「住民に手間」「収集効率が落ちる」といったことを理由に敬遠されがちであるが、現実にはそんな心配は不要であることが佐世保市の事例から明らかとなった。

<しくみ>
単身者には無料ごみ処理券(ミニ・35円相当)120枚、2人以上世帯には1人につき無料ごみ処理券(70円相当)60枚が12月に配られいる。これは各人がごみを15%減らせば足りる量となっている。それで足らない場合は有料ごみ処理券を店で購入しなくてはならない。市民は自由販売の指定袋を購入し、それにシールを貼って出す。袋は4サイズあり、7.5L(35円券1枚)、15L(70円券1枚)、30L(70円券2枚)、45L(70円券3枚)という設定。袋にはシールを貼る場所に枠が表示されているので、券種や枚数を貼り間違う心配がない。

<減量効果は3割>
市の収集するごみはスタート5ヵ月の平均で前年比29.7%減で推移している。内訳は、可燃ごみ30.8%減、不燃ごみ49.8%減、資源物12.7%増。収集量の減少した分は、自治会の集団回収にまわっているものと考えられる。

<市民の反応>
・ ステーションがきれいになった、と市民のあいだで好評。
・ 7.5L袋でいいからと、無料券(70円相当)とミニ券(35円相当)の交換を申 し出る市民が続出。市は来年からミニ券を2枚連結し、キリトリ線で切り離せる券を作成する予定。
・ 一定量無料配布にもかかわらずスタート当初から有料券が予想外の売行きを示している。住民登録していない学生や外国人が購入しているとみられる。

<シールで問題なし>
・ 開始前に職員がそれぞれ40ヵ所の住民勉強会を受け持ち、全部で500ヵ所、土日返上で周知徹底にあたった。その甲斐あってスタートのときから大きな混乱はなかった。
・ シールが貼られなかったり枚数が不足した袋で出される率(可燃ごみの不適正排出率)はスタート当初が4.5%、1ヵ月過ぎた段階で0.8%。現在はさらに減っている。
・ シールを貼るのが面倒という苦情は、スタート当初に多数あったが、市が予想していたほどではなかった。軌道に乗った現在、苦情は影をひそめた。高齢者には複雑な制度かという思いが豊村氏の頭をよぎったそうだが、実際その手の苦情はまだきてないという。
・ 作業員から収集作業の能率が落ちるといった声はまったく上がっていない。慣れればなんの問題もないという。スタートしてみて分かったことだが、ほぼすべての住民がシールの見えるほうを正面に向けて袋を置いてくれるという。そのことはあとで私たちが市内集積所を見て歩いた際にも容易に確認できた。だれも指示しないのに統制がとれており、実に見事なものであった。
・ カラーコピーで偽造したシールが出回ったが、二度貼りを防ぐための切れ目加工が有るか無いかで容易に判別がつくため、作業員は瞬時に見抜けるという。偽造シールの袋は事務所に持ち帰り、のちほど排出者を特定して課徴金(収集手数料の5倍)を課すなどの指導をおこなっている。
・ シールの調達価格は0.6円程度。1シート(10枚セット)につき5.775円(140万シート分)と6.4円(30万シート分)という入札結果だった。シールは作りが簡素だが、袋に貼るとよく目立つ。シートはB5サイズだが折りたたむと名刺サイズにもなり、機能的に作られている。
・ 以前、某市で「シールと剥離紙がごみになる」との指摘を受けた話をすると、「どんなしくみにだって長所と短所がありますから」と豊村氏は気にしない。実際、再生紙でできた安手な10枚シートを手にすると、とりたてて気にするほどの質量でないと誰もが感じるだろう。
・ 「シールにして、ほかになにか運用上の問題がありますか?」の問いには「まったくない」という返答。

<職員も誇りとする制度>
・ 豊村氏は佐世保市のやり方を「減らした人は無料ですみ、努力した人が報われる」制度だと胸をはる。単純有料制は減らした人もお金がかかってしまい、減量効果が期待できないのではとも語る。
・ 当初発注したシールが1400箱。入荷してきたときは部屋が満杯になり、これを有料袋でおこなっていれば大変なことになっていたと実感したそう。シールは配送も郵便でやれてしまえる。シールは職員にとって管理が容易なツールだと確信しておられる。
・ スタート前は「なぜ袋にしなかったのか?」という声もあったが、いまでは職員全員が現在の制度を誇りとしている。

〜訪問後の感想〜
訪問前は「シール方式にも多少の難点があるか?」と予想していましたが、担当者から説明を聞くほどに佐世保市の制度はよく考えて作られており、問題なくスムーズに運営されていることが理解できました。実際に佐世保市の集積所を歩いてみれば、シール方式に向けられている疑問が頭でっかちの想像の産物であることに気づきます。やり方を間違わなければ、シール方式はこれから有料化に向かう自治体にとって有望な手法であることを確信します。清掃関係者の方々が佐世保市に目を向けられることを願ってやみません。


 

『包装タイムス』4月18日付に掲載された記事を記者承諾のうえ転載いたします。

黒色ごみ袋がエコマーク製品に

エコマーク新認定基準案へ明記

 日本環境協会ではこのほど、昨年6月から見直し作業を行っていたエコマーク商品類型118「プラスチック製品Version2.0(認定基準案)」を公表した。新認定基準案では、日本ポリオレフィン工業組合がかねてから同協会に要望をだしていた“黒色ごみ袋と雑色ロスの問題”について明記されるなど、新たな展開が期待される内容となった。内容については、同協会ホームページの「エコマークニュース55」にて閲覧が可能で、公表機関は5月13日まで、制定予定日は今年9月1日が予定されている。

 今回の見直しについては、プラスチック廃棄物の有効利用を促進すべく、使用済みプラスチック製品のマテリアルリサイクルを主眼に、使用済み製品のリサイクル性も評価対象にされた。なかでも、現基準(Version1.0)では黒色ごみ袋を対象外としていたが、「再生プラスチックにおいてコントロールが難しい雑色ロスの用途を広げる必要性が指摘されたことや、透明・半透明ごみ袋と黒色ごみ袋の使い分けは使用者の選択に任せるべき」との意見により、今回の新認定基準案では黒色ごみ袋を対象外としなかった。

 1993年に東京都が白色半透明ごみ袋を導入以来、それまで主流だった黒色ごみ袋は使用が激減、その材料であった雑色ロスは行き場を失う状況が続いていた。今年は京都議定書の発行や「愛・地球博」の開催など環境問題がよりクローズアップされる中での今回の新認定基準案だけに、関係者の注目度はひときわ高い。黒色ごみ袋のエコマーク認定を期に、ごみ袋の動向を左右する市町村の取組みにも新たな展開が期待されるところだ。


 
京都市審議会、有料化方針を決定

従量制有料指定袋を選択

3月24日、京都市廃棄物審議会の第6回指定袋制導入検討部会において「単純指定袋」「従量制有料指定袋」「超過量制有料指定袋」の3つの選択肢のなかから一つに絞り込む目的で審議がなされ、「従量制有料指定袋」が選ばれた。

これにより今夏に予定される市長への答申は「従量制有料指定袋」でなされ、その内容で条例案が議会に上程されることが確定的となった。早ければ18年秋にも有料袋制が導入される見通しだ。

部会では最初、有料化するかしないかを決断するための議論が30分間もたれ、結果、全会一致で有料化する方向に決まった。次に従量制と超過量制どちらでいくかの議論が10分間もたれ、これも反対者なしで従量制が選択された。

<特別コラム>
審議会には有料化論争を乗り越えてもらいたい

審議会のあり方の難しさを感じる。100万都市が有料化に向かう流れが実質30分の討議で決定された。審議会の答申は法的拘束力をもたないが、通例、単なる勧告で終わるはずもなく、議会を通って条例化される公算が高い。それだけに審議会の責任は重大といえる。議会と非なるものである審議会の役割とは何であろうか。「審議会の役割は利害関係者の合意形成や省庁の隠れ蓑ではなく、専門家を集めてどんな選択肢があり、それぞれどんなメリット・デメリットが社会にとってあるかの知恵を出すこと。省庁内でできるのならわざわざ設ける必要なし」−−これは首相官邸サイト内でみつけた一節である。行革会議「委員の意見の整理」より)

筆者は、ここ4回ほど京都市の指定袋制検討部会を傍聴しているが、指定袋や有料化に関する専門的知見を提供したのはもっぱら事務局を務める市担当者であった。委員は与えられた説明に対し、一般人と変わらない感想を述べるにとどまった。役所単体の検討作業では得られないような専門家ならではの付加価値は審議のなかに確認できなかった。委員が市の用意した資料について専門家として批判的検証を加える場面もなかった。

筆者のメモによれば、有料化方針を採択した30分の討議において委員の発言回数は都合32回あった。うち有料化や指定袋の必要性を問い質す発言は1回きり。それというのは、市民公募委員から出た「有料化するとごみは減るんですか?」という素っ頓狂な質問だった。事務局は当惑気味に「はい、ごみは減ります。ただし併せ技が必要」と答えていた。残りの発言は、委員がもう有料化でいくと決めつけた上で枝葉的な付帯条件に言及するなど、京都市の将来を今まさに決しようという場には似つかわしくない内容と思われた。

ひとたび有料化をテーマにシンポを開けば、会場からは多くの手が挙がり、賛否両側から本質をえぐるような意見が活発に出されて熱気をはらむのが常である。そこでは大抵「意識向上」「負担公平化」というものの本質が問われている。京都市が11月6日に主催した「青空タウンミーティング」も例外ではなかった。一方、審議会での議論は、そうした市民の声の縮図とは遠くかけ離れた様相を呈していた。「一般市民の議論と学識者の大所高所からの議論は違う」という一言では片付けられない違和感を覚えた。

昨今有料化に関する討論会は数え切れないほど催されている。審議会が議論するのであれば、最低限そこで争われた論戦のエッセンスを収集し、あらかじめ共有すべきではないだろうか。委員は過去の論戦を共同でトレースし、専門家としての威厳をかけて争点を乗り越えるのが責務であろう。

審議会は貴重な税金とマンパワーを投じて運営されるのだから、答申では結論に至った筋道を丁寧に示せなければ意味がないはずである。しかし現実には、紋きり型で争点を整理しない答申が多くみられ、しかも既決方針として神聖視される。委員が人々の疑義を解消する言葉を紡ぎ出せないのであれば、もはや結論は政治判断でしかないわけで、専門家のすべき仕事ではない。審議は最初から行政マンや議員の名の下で進めるべきであろう。

参考まで筆者が活動家・学識者との交流で得た見聞から、有料化を審議する上で最低限留意したいと思われるポイントを以下に記す。有料化政策の専門家が解明すべき課題である。

(1)効果発生メカニズムの検証
減量効果があるとしたら、それは生活ごみの中の何がどう減少してもたらされたと解析できるか? 有料化をきっかけに意識向上が図られ、住民の行動をコントロールできると仮定した場合、自治体は具体的に住民行動の何をどう変化させたいのか? 資源回収、発生抑制、不法投棄など、各個別の行動変化が減量化に及ぼす影響度合いをどのように見ているか? (自治体での収集量が減ったから効果ありだとする理屈を、有料化に関心を寄せる多くの人々が納得していない。効果発生メカニズムを明らかにしたところから議論をスタートさせるべきである)

(2)有料化の正味減量効果の検証
住民の減量化に向けた行動変化は、有料化なしで獲得することは不可能なのか? もし不可能だとしたらそれはなぜなのか? (有料化しないで減量化を果たした自治体が多くある事実からして、有料化なしでも減量可能な領域があることは明白である。有料化で減量した領域から有料化なしで減量可能な領域を差し引いた残りが、真に有料化を必要とする根拠だと特定できるはずである)

(3)負担不公平を是正する必要性の検証
適切な方法で減量努力した世帯とそうでない世帯とで排出量にどういう分散傾向が見られるか? 全家庭から課金するのが相当と判断するに足る差異が存在しているか? 家庭ごみ収集のどこからどこまでが、地方自治法第227条が手数料徴収を許す「特定の者のためにする事務」に相当するか?(地方自治法は市町村の住民の大半又は全部のためになす事務については、手数料を徴収することは予定していない)

人々が有料化に対して突きつける疑問は得てして上記命題に含まれるものだと思われる。有料化を推し進める側がこれら課題と真摯に向き合わなければ、いつまでたっても議論は平行線のままである。

◆ネット検索で審議会に関する興味深いコラムを2つ発見した。ぜひ参照されたい。
「時間泥棒はだれ?」飯田哲也氏
参議院法制局 法制執務コラム「審議会」山本晋氏


 
福岡市が入札方式の方針示す

10月から有料化、外郭団体に事務委託

2月10日、メーカー、問屋およそ60名を集め、福岡市環境局による業者説明会が催されました。3月議会を通過したと想定した上での、指定袋の制度変更の話でした。福岡市は現在認定制ですが、これを10月から有料袋制に移行する計画です。当局の有料袋制の方針が関係者の前に初めて正式に示されました。

ここまで紆余曲折がありましたが、結局予想された通りの入札方式でした。袋の調達、流通管理を外郭団体に委託し、アイテムごとに別々の業者が落札させる点に特色があります。移行時には透明無地袋を認める方針。

質疑応答で業者側からは、入札資格、店の手数料、在庫切り替えのスケジュール、不正発生時の問題点、百均業者の対応、脱臭入りは入札でどうなるのか等々、様々な疑問・要望・意見が出されました。

すでに粗大ごみシールを扱っている「福岡市くらしの環境財団」が入札を行います。参加業者はこれから公募することになります。当局は、業者の参加資格に「従来の指定袋を作った実績を重視する」と強調しており、従来からの承認業者(27社)や地元事業者は何らかの形で優遇するつもりがあるようです。

ただし新参の入札専門業者が裏から応札業者をコントロールし、一社独占に至る可能性があり、市もそのことを排除できないとしています。応札業者の工場の所在などについてはノーチェックとする構えです。

初回入札ではトータルで5400万枚を予定。

可燃45L 2800万枚
可燃30L 900万枚
可燃15L 700万枚
不燃45・35L 500万枚
びんペット22・15L 500万枚

可燃45Lが全体の56%を占めます。入札は初年度に2回実施し、その後は3、4回。年間消費枚数は7500〜7700万枚を見込む。

デリバリーは、コンビニ用に指定ベンダー(問屋)をかますことを想定しています。業者から「コンビニだけ差別的に優遇するのはおかしいのでは?」と指摘があり、市側は「すべての業態が希望すれば問屋を通せる」と回答しました。問屋向けに設定される手数料を了承し、売掛リスクを覚悟した問屋には門戸が開かれることになります。

外郭団体を用いるのは、入札分割を禁じたWTOの政府調達協定の適用を逃れるためといいます。こうした手法がもし市民権を得て通用してしまうのであれば、追随する自治体に道をひらくことになるでしょう。良い意味でも(一社独占にならないようコントロールできる)悪い意味でも(恣意的な判断が横行する?)先駆的、実験的という気がします。

問屋経由をすべての業態に認めるという判断は(問屋救済という意味で)それなりに評価できます。とはいえ福岡市は10月から袋の市場競争をなくす決断をしました。市民から27億円を徴収するためにメーカー出荷段階で4億円、小売段階で8億円という健全で活力ある市場を接収する道を選びました。シール方式や、袋でやる場合でも自由競争を残す方式などの回避手段があるにもかかわらず安易に先例を踏襲したことは非常に残念です。140万都市で入札有料袋制を実施すると一体どういうことになるのか、私たちは福岡市で初めて経験することになります。



『包装タイムス』1月10日付に掲載された記事を記者承諾のうえ転載いたします。

ごみ袋最新動向

指定袋の動向、焦点に

原料動向や新製品の登場なども注目

 

指定袋の行方

 各産業界の昨年を振り返ると、原料価格の上昇に翻弄された1年であったといえる。しかしながら、ごみ袋業界にとって、原料価格以上に重大な関心事が市町村の指定袋の動向。
 市町村は指定袋を導入する際、一般的に入札方式をとるが、1社、もしくは数社のみが選択されるため、それまで自由競争で展開していた企業が必然的に除外されることになるからだ。一方、指定袋を請け負った企業にとっても、昨今の原料価格高騰により、市町村が決定した価格からの大幅な上昇が予想されることから、企業にとっては原料確保の危うさ、さらに赤字生産の懸念が生じるからでもある。実際、昨秋に有料袋を開始したA市では、入札方式によりインフレメーカーのB社を採用。入札時期は昨春頃であったが、夏場にB社が受注量の約半分しか製造できないとA市に通達してきた。一方的な通達に対し、当然のことながらA市はB社に苦言を申し入れるが、有料袋の開始時期が目前に迫った状況であったことから、残りの量を製造できる企業を探すことを余儀なくされた。何社もあたった結果、ようやく1社と契約に至り、どうにか有料化を開始するというドタバタ劇が繰り広げられたのである。B社の製造規模からみて、決して製造できない量ではないにも関わらず、なぜこのような状況となったか。最近では、市町村と企業が契約する際、契約事項の1つに「予想外に原料価格が上昇した場合、価格を見直す」旨の一文を入れるそうだが、記者がA市に確認したところ、こうした約束は取り交わしていないという。あくまでも予測であるが、春先から夏まで原料が上昇した状況をみれば、B社が製造中止の判断に傾いたと見るのが自然である。A市では今後、入札方式の見直しまでは検討していないが、1社に限定することはないそうだ。
 A市だけではない。今年の秋頃には某大都市も有料化に踏み切る可能性があり、除外される企業がでることはもちろんのこと、不透明な原料事情を考慮すれば、請け負った企業が製造責任を果たせるのか大いに不安が残る。こうした大都市に他の都市も追随すれば、とくに専業メーカーは業務の方向転換、もしくは廃業に追い込まれる懸念も高いだろう。

今年も高値維持か

 原料のほとんどがポリエチレン(PE)で構成されているごみ袋の価格は、いうまでもなく原料価格の動向にストレートに反映されることから、原料の動向にも目が離せない。一昨年の秋頃までは、PEの海外価格は550〜600j前後で推移していたが、昨秋にはHDPEで1200j超、LDPEでは1400j超を記録し、L‐LDPEも1180jと大幅な価格上昇となった。こうした状況から、近年稀にみる海外高、国内安の逆転現象を引き起こした。原料供給メーカーにとって、いうまでもなく安い国内よりも高い海外に売るほうが得策。実際に、国内の供給量は減り続けている。原料を安定的に仕入れるためには、高くても海外から購入するしかないのが現状のようだ。今年は、新たに中国のプラントが稼動するが、旺盛なアジアの需要を満たすには程遠く、「雀の涙」程度の効果しか期待できないもよう。昨年末から、原料価格はようやく落ち着きを取り戻してきたものの、依然高値水準にあることに変わりなく、各社の予測は海外価格で1000jは割り込まないとの見方が支配的だ。

新製品に期待

 「東京23区推奨ごみ袋」の規格が見直されたことも見逃せない。それまで、炭酸カルシウム(炭カル)を30%含有することなど細かな規格が決められていたが、新規格ではこうした規格が撤廃され、半透明であることやサイズ以外はほぼ自由化された。
 この変更に対し、業界は歓迎ムードである。新規格では強度に一定の基準さえ満たしていれば厚みの規定がないため、主流となりつつある「薄く丈夫な袋」の製造技術が生かされると判断しているからだ。昨年12月1日の実施にあわせ、ある企業ではメタロセン触媒による原料を20%ブレンドしたHDPE袋を販売、主流の45g袋では厚みを22マイクロbまで薄くした。厚みがない分、これまで以上にコストを抑えることが可能になった。今後も、各社からこうした製品が登場してくることは間違いないだろう。
 また、今春には昨年から本紙でもたびたび報じてきた「カラスに中身の見えないごみ袋」がいよいよ販売される予定。昨年の「東京パック2004」でも展示され話題となった。カラス対策で苦慮している市長村への需要掘り起こしに期待が寄せられそうだ。カラスへの効果は、記者も確認したが、高いレベルにあるといえる。同製品の販売により、今年は業界全体に新製品開発の機運が高まるものと思われる。



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